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- 自己紹介
- どうせ引き裂かれるなら 身を引き裂かれる方がはるかにマシだと思った 信じてた ・・・いや、信じてる。 今この瞬間だって、信じてる でも・・・薄々は気づいてる。信じたいのは、認めたくないからだ。 自分に言い聞かせるような、 そんな涙声が・・・もうたまらなく馬鹿馬鹿しくて・・・。 さらなる涙が・・・顔をもっとぐしゃぐしゃにする・・・。 機械的に繰り返されていたそれはようやく収まり、とても静かになった。 ひぐらしの声だけが・・・いやに騒がしい。 なのに、・・・彼女のそれはまだ聞こえる気がする。 ・・・聞こえるはずはない。 彼女はもう、言うのをやめているのだから。 泣いているのは俺だけだった。 彼女は泣きもしなかった。 彼女がそれを繰り返し口にしていたときも、表情どころか感情もなかった。 彼女に俺のために流す涙がないのなら、俺にだって。 ・・・彼女らのために流す涙はいらないはずなのだ。 それなのに・・・痛み、目を潤ませてしまうのは・・・どうして? それでも引き裂かれていないと、・・・信じていたいから。 もう十分だろ? 内なる、もうひとりの自分がやさしく語りかける・・・。 俺はもう充分に心を痛めたさ。 ・・・そして何度も、その痛む心を捨てるべきかどうか迷ったんだ。 だけど俺は・・・頑なに、捨てることを拒んだんじゃないか。 捨てれば・・・もっと心が楽になる・・・。 それを知りながらも、俺は信じることを選んだんじゃないか。 その辛かった苦労は、きっと俺にしかわからないし、俺にしか労えない。 なぁ俺。 ・・・俺は充分に頑張った。 ・・・俺がそれを認めてやる。 だから。 ・・・もう楽になってもいいんじゃないか・・・? それに・・・捨てるんじゃない。 彼女と一緒に、置いていくんだ。 ・・・花を手向けるように。 さぁ。 ・・・心を落ち着けて・・・。 もう右腕が痺れているだろうけど。 ・・・頑張って振り上げよう。 ひとつ振るたびに忘れるんだ。 親切が、嬉しかった。 愛らしい笑顔が好きだった 頭を撫でるのが、好きだった。 そんな君がはにかむのが、好きだった。 これで最後だから。 これを振り下ろせば忘れてしまうのだから。 君に送る、・・・俺からの、 最初で最後の花束。 ひょっとすると、・・・俺は君の事が、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・好きだった。 ・・・誰かが、ずっと謝っている気がした。 彼女は何を謝っているのだろう。 それに聞き耳を立てるのは悪い気がしたので、意図的に聞かないようにした。 親類の葬儀のために戻った、久しぶりの都会だった。 つい先月まで住んでいたにもかかわらず、都会の賑やかさに圧倒された。 高層ビルに何車線もの道路。 歌うように騒がしい横断歩道のメロディ。 駅前での選挙演説すらも今では懐かしかった。 今、住んでいる土地にはそんな賑やかなものはない。 あるのはセミの声と清流のせせらぎ。 そして、ひぐらしの声。 そんな静けさに寂しさでなく、安らぎを感じ始めたのは最近だ。 確かに今住む土地には何もない。 気の利いたハンバーガー屋はおろか、自動販売機すらない。 レコード屋もないし、レストランもないし、ゲームセンターもない。 アイスクリーム屋なんてもってのほかだ。 最寄りの町まで行けばあるにはあるが、自転車で1時間もかかる。 だが、考えてみればそれに不便を感じる必要はなかった。 前の町には確かにレコード屋もゲームセンターもアイスクリーム屋もあったが、別にそれらを頻繁に利用していたわけじゃない。 アイスクリーム屋に至っては、10年も住みながらついに一度も入ることはなかったのだから。 ・・・一度くらいは食べに行けばよかった。 今更ながらちょっと後悔。 ・・・誰かが、まだ謝り続けている。 彼女は誰に謝っているのだろう。 これだけ謝っているのだから、もう許してやればいいのに。 彼女だって、こんなにも謝り続けることはないはずだ。 いつまでも彼女を許そうとしない誰かに、俺は少し苛立ちを覚えた。 どんな過ちだって、許されないことはないはずだ。 取り返せないミスなんてない。 次から気をつければいい。 ・・・それでも彼女は謝り続けている。 では・・・取り返しのつかない過ちを犯してしまったのだろうか? 一体彼女が何を犯したのか知らないが、取り返しのつかないものなら、なおのこと許してやるべきだ。 彼女がいくら謝ったって、どうにもならないのだから。 それでも彼女は、こんなにもみじめな声で謝り続けている・・・。 なぁ、彼女に謝られてる誰かさんよ。 もういい加減に彼女を許してやれよ。 こんなにも・・・みじめな声で謝っているんだから・・・・・・。 「圭一、そろそろ着くぞ。起きなさい」 親父に小突かれようやくまどろみから目を覚ました。 ようやく列車が終点に着いたようだった。 新幹線やら電車やらを乗り継ぎ数時間。 窓の外の風景は、半日前までいた都会と同じ国であることを、 いや、同じ時代であることすら疑わせる。 ここからさらに車で山道を走る。 うっそうと木々が茂る山道が急に開けるとそこが・・・、 そこが今の俺の住む土地、雛見沢(ひなみざわ)だ。